無機繊維の断熱材は安い?

電卓とお金無機繊維系の断熱材ではグラスウールとロックウールが代表的です。グラスウールの原材料はガラス、高温で溶解させて遠心力で繊維状に加工しています。資源ごみであるリサイクルガラスを採用しており、ボード状や充填剤などの仕様があります。グラスウールの最大のメリットは、低コストで断熱性能を付与できることです。断熱性能で見ればフェノールフォームなどが優れますが、コストは倍くらいかかるとされています。ガラスを素材にしているので、火事発生時も不燃性なことから有害ガス発生などのリスクもありません。隣家で火事が発生しても難燃素材であることから延焼をある程度防いでくれます。さらにガラスは高い耐久性をもつことから、経年劣化が少ないという特性を持ちます。この点発泡プラスチックなどの断熱材は高温多湿状況では変形することもあるものの、グラスウールでは変形や断熱性能が落ちにくいなどのメリットがあります。
他方でグラスウールは繊維状の素材である特性から、水に触れると性能が劣化してしまう特性があります。それというのも繊維状の素材のなかに空気をとどめることで熱を伝えにくくしているので、水分を含むと断熱性能を発揮することができなくなるからです。このような性質があるので、グラスウールで断熱施工するときには防水シートなどを用いて水分が浸入しないように対策がとられることがあります。内部結露がひどい、などの経験談もありますが、防水加工が不十分なことが原因です。
無機繊維系断熱材のもう一つの代表格が、ロックウールになります。ロックウールは、玄武岩などの天然の鉱物を高熱で溶解して繊維状に加工し、綿のように成型して作られます。ロックウールの断熱のメカニズムもグラスウール同様に繊維に空気をとどめることで発揮されます。ロックウールが他の断熱材と大きく異なる特徴に、はっ水性に優れている点をあげることができます。繊維系断熱材では繊維間の空気の移動が熱移動に大きく関与します。繊維状の構造に水分が入り込むと、素材が潰れてしまって断熱性能が大きく低下します。この点ロックウールは水をはじくので潰れることはなく、繊維内の空気も保持されて断熱性能も損なわれる心配はありません。鉱物由来のため防火性能に優れており、空気を閉じ込めるので防音効果も期待できます。ただしグラスウールに比較すると、コスト面で少し嵩むのはたしかです。ロックウールの断熱素材はボードやマット、フェルトなどがあります。