高い気密性を求めるなら木質繊維

新聞紙セルロースファイバーは木質繊維の断熱材で、1950年代にアメリカで開発されました。原材料は新聞紙で、裁断拡販したものに難燃剤としてホウ酸を添加して作られています。新聞紙はパルプ素材を原料にしていますが、パルプ繊維がもつ大小様々なすき間に多彩な太さのパルプ繊維が重なることで空気の層が形成されて高い断熱性能を発揮します。優れた断熱性能から世界中で普及しており、アメリカでは最も使用頻度が高い断熱材と見られています。新聞紙を原材料にしていることから、資源枯渇のリスクも少なく製造エネルギーがほとんど必要ありません。環境意識の高まりを背景に、地球環境に優しいエコな素材としてのセルロースファイバーは今後も需要増加が見込まれます。
日本ではコストの問題から、グラスウールやロックウール、発泡スチロールなどの需要が依然として大きいのはたしかです。これらの素材と比較してみると、セルロースファイバーのメリットが良く理解できるでしょう。
まず吸湿性能に優れている点です。グラスウールはリーズナブルで加工しやすいというメリットがありますが、水分に弱いのがデメリットといえます。施工時に十分な防水加工をしておかないと、水分が浸入し内部で剥落したり、断熱性能が大きく低下するなどの事態に発展するリスクがあります。この点セルロースファイバーは調湿性能にすぐれ、夏場などの高温多湿になりがちな日本に向いていると評価できます。自然素材ならではの吸放湿性により、屋内での結露防止やカビ発生抑止などの効果も期待できます。さらに製造時に防火性能を高めるために添付するホウ酸のおかげで、ゴキブリやシロアリなどの害虫も寄せ付けません。加えて防音性能が高いことから、アメリカでは空港周辺の住宅では防音素材として使用されているほどです。日本でもシアタールームやカラオケルームなどでも活用されているので、防音性能は折り紙つきと言えます。
他方でセルロースファイバーは一般的にしようされるグラスウールに比較すると、コストがかさむのがデメリットといえます。さらに材料がかさばるため搬入や施工が難しく、施工には専用の機械と技術者が必要です。つたない技術ではセルロースファイバーの密度が低くなり、落下・剥落する可能性もあります。セルロースファイバーは断熱性能の高さだけでなく、色々な機能性ももっているのがメリットです。予算と自分が希望する居住性能とはかりにかけて、採用するかいなかを決めることになるでしょう。